トニースコがタランティーノの世界を大事にしていることが伝わってくる。デニス・ホッパーとクリストファー・ウォーケンのくだらない会話と、へらへら笑っているウォーケンがいつ爆発するかというサスペンスはまさにタランティーノ・ワールド。ブラッド・ピットが、二度までも主人公たちの居場所を追手に伝えてしまうだらしなさも最高。テレンス・マリックの『地獄の逃避行』を踏まえながらも幸福感がある。ケリー・ライカートも同時期に『地獄の逃避行』を踏まえた『リバー・オブ・グラス』を作っている。こちらはやり場のない不幸感が漂っていて、その違いが面白い。