Toshiko

ゲッベルスと私のToshikoのレビュー・感想・評価

ゲッベルスと私(2016年製作の映画)
3.8
103歳という年齢が嘘のように明瞭に話し続ける女性と、戦時中の映像が交互に流れ続ける作品。
彼女が話すように,ほんとうにドイツの人たちは、ナチスが強制収容所でどんなことをしていたかを知らなかったのだろうか。今ならば考えられないことだけれど、時代的に情報の伝達手段が限られ、戦時中という状況で限られ、さらにナチスが恣意的な情報操作をしていたならば、あり得ることだったのかもしれない。
それにしても、ゲッペルズの秘書という立場で、まったく何もわからない状況だったのだろうかという疑問が残ってしまう。知らなかったからどうしようもなかったし、知ったとしても何もできなかった。民衆は、ヒトラーやゲッペルズの演説を聴いてトランス状態になっていた。そんな中にいれば、自分の見識を持つこともできなくなってしまう。異常な環境にあった人びとを責めることはできないけれど、何かを知り得る立場にあったなら、自分の良心に従って動いた人もいるわけで、結局は動くか動かないか、ということなんじゃないかな、と思った。
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