トレンティン

葡萄畑に帰ろうのトレンティンのレビュー・感想・評価

葡萄畑に帰ろう(2017年製作の映画)
3.5
ジョージア映画ということで、ジョージアについて私なりに簡単に説明。

1918年ジョージア民主共和国として独立し、公開された2018年は独立100年にあたる記念すべき作品。1990年代初頭のアブハジア紛争、2008年の南オセチアをめぐるロシアとの戦争などではジョージア国内避難民が生まれている。 そして、2015年に、ロシア語読みのグルジアから英語読みのジョージアへ呼称変更されている。

ワイン発祥の地といわれ、ブドウの生産が盛ん。また、ジョージア人には「客人は神様からの使い」という考え方があり、旅人にとって憧れの地としても有名。

では、本作のレビューへ。

ファンタジーなテイストがあまりにもポップすぎて風刺に気付きにくいが、「人間の“椅子”に対する執着や愛情は変わることがない」ことを嘆いた作品になっている。“椅子”とはつまり地位。盲目的に地位の保全に没頭する主人公が転落する様をユーモラスに描いている。

また、本作でもワインが象徴的に使われている。ワインはキリストの血でもあり、ジョージア人の魂でもある。『葡萄畑に帰ろう』というタイトルはチープなようで奥が深い。

個人的には、ファンタジー要素がノイズになってしまったが、ジョージアらしい素晴らしい良作だったように思う。
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