ジョージア映画ということで、ジョージアについて私なりに簡単に説明。
1918年ジョージア民主共和国として独立し、公開された2018年は独立100年にあたる記念すべき作品。1990年代初頭のアブハジア紛争、2008年の南オセチアをめぐるロシアとの戦争などではジョージア国内避難民が生まれている。 そして、2015年に、ロシア語読みのグルジアから英語読みのジョージアへ呼称変更されている。
ワイン発祥の地といわれ、ブドウの生産が盛ん。また、ジョージア人には「客人は神様からの使い」という考え方があり、旅人にとって憧れの地としても有名。
では、本作のレビューへ。
ファンタジーなテイストがあまりにもポップすぎて風刺に気付きにくいが、「人間の“椅子”に対する執着や愛情は変わることがない」ことを嘆いた作品になっている。“椅子”とはつまり地位。盲目的に地位の保全に没頭する主人公が転落する様をユーモラスに描いている。
また、本作でもワインが象徴的に使われている。ワインはキリストの血でもあり、ジョージア人の魂でもある。『葡萄畑に帰ろう』というタイトルはチープなようで奥が深い。
個人的には、ファンタジー要素がノイズになってしまったが、ジョージアらしい素晴らしい良作だったように思う。