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縮みゆく人間のTSのレビュー・感想・評価

縮みゆく人間(1957年製作の映画)
4.1
【核実験にも触れた傑作SF映画】86点
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監督:ジャック・アーノルド
製作国:アメリカ
ジャンル:SF
収録時間:81分
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悶絶する程の面白さ。最近小さい人を扱った映画として『ダウンサイズ』がありましたが、控えめに言ってもその10倍は面白い。60年前の映画とは思えないほどのクオリティ、そして最後まで飽きないストーリー展開が二重丸でした。前半はどんどん小さくなっていく主人公の苦悩を、後半はがらりと変わり最早神話的アドベンチャーを見ている感覚でした。

ある日太平洋上でボートを楽しんでいたスコットは、不思議な霧に包まれてしまう。それから6ヶ月後、彼の身長が徐々に小さくなっていくのだが。。

まずタイトルが良いですね。どんどん小さくなっていくということがタイトルだけでわかります。1950年代ということで、間接的に核実験による影響を批判しています。もちろんSFなのでこんなことが起きるのは考えづらいですが、当時の市井の人々の不安が垣間見れます。さて、今作の面白いところはまず主人公が徐々に小さくなっていくというところにあります。小人を扱った映画は多々ありますが、じわじわと小さくなっていく映画はあまりないでしょう。最初は気にならない程度でしたが、気がつけばハサミより小さくなっていって世間から有名となってしまいます。そして小さくなればなるほど、普段恐れていなかった生物が「怪物」に見えてくるのです。猫がその最初の敵であり、巧いこと撮影しているなと感心するばかりでした。

さて、ここまででも十分面白いのに、今作の見所は後半部分にあります。地下室に投げ飛ばされた主人公は誰も助けがこないまま地下室でサバイバル劇を繰り広げます。ここで登場してくるのがタランチュラ。このサイズからみると最早異形の悪魔。主人公も鈍臭くなく、頭のキレも良いのでイライラしない。主人公の服装もボロボロになってくるため、ワンシーンだけ見たら古代の歴史映画のよう。もし人間がここまで小さくなってしまったら、ここまで苦労するのだということをリアルにかつ的確に示してくれました。
今見ても全く色褪せない特撮。根源的な面白さがありますので、是非多くの方に見ていただきたい傑作SF映画です。
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