Kororin68

ある少年の告白のKororin68のネタバレレビュー・内容・結末

ある少年の告白(2018年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

牧師の息子が、クリスチャン団体の「同性愛者 矯正プログラム」に送り込まれる。
結果としては、そのプログラムが、いかに乱暴で、非人道的かを暴露することになる。
そこには、参加者の傷(見える傷、とりかえしのつかないダメージ、トラウマ)や、参加させた家族の問題を浮き彫りにする、多くの犠牲も伴うのだけど・・・
最後には、そのプログラムの主催者自身が、今では同性カップルとして生活しているってクレジットに、あんぐり。

父さんや周囲の牧師たちは「変わる気があるなら変われる」っていうけど、ホントは「変わりたくない」のは自分たちだった。
変化を恐れて、どうすれば良いか分からないのに「聖書にはすべての答がある」って常套句に逃げてて、妻の話も息子の話も聴こうとしない。
主人公の少年だって、悩んでた。同性と(異性とも)セックスはしまいとしていたし、事実は男性からのレイプだったり、一線は越えまいと手を握ってただけなのに、周囲は「本当はもっとあったんだろう!」って決めつける。
あ~~、ホントに悲しくなる。
あとね、「ここでの話は外で言わないように」って…
「守秘義務」って、牧師(リーダー)に求められるものであって、リーダーが参加者に求めるものじゃない。
「ブラックボックス」という構造はそれ自体でアウトです。
「だれにも言わないでね」って人は、毒。
すぐに離れた方がいい。

たぶん、この父は、教会で自分の息子がゲイだと告げたら、長老たちから牧師を辞職するよう告げられて、結びのところでは、一長老になっている、という流れなんだろうなぁ~

最後で、息子が父に告げる「告白」こそ、ホントのカミングアウトだ。
聖書は、答えのない事実がたくさんあることを語る。
「事の善悪を論じないようにせよ」と言われる神を語る。
一方的に決めつけず、話を聴く謙遜を語る。
どんな人も、自分と同じような、不完全で、愛に飢え、赦しと励ましを必要とするニンゲンと見るよう語る。

ぼくは「聖書が語るのは異性婚のみ」で、「婚外の性行為も妄想も、同性であれ異性であれ、姦淫」って言ってると思ってます。
それは、人間を守るため。
特に、弱者に対して、「ノー。本当に愛してるなら、結婚まで待って」って言えるバックアップにもなる(それだけが目的じゃないけど)。
今週ニュースでショックを受けている、敬愛する故人J.V.氏の性的虐待のことからも、改めて、神の戒めが人間のバウンダリーを守るための防波堤なのだと、考えずにおれないです。
そして、性的なありかたに関して、同じような見解を持てない人に対しても、「それは間違いだ! 間違いなのだから、手段を選ばず、乱暴な方法を使ってでも、間違いだと認めさせるべき」と僕が思ったとしたら、最悪なのは僕自身、だと確信してます。
そういう角度から、本当に深く考えさせられる実話です。
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