あさぎりたまり

ある少年の告白のあさぎりたまりのレビュー・感想・評価

ある少年の告白(2018年製作の映画)
4.0
トロント国際映画祭で観ました。とても静かな映画ですが、とても感動的なストーリーです。
作中に出てくるバプテスト派はアメリカに広く根付いているプロテスタントのひとつで、ドラッグ、中絶、同性愛に厳しい教義を持っています。
19歳のゲイの男の子がバプテスト派の更生プログラムに参加し、自分のアイデンティティを模索していきます。あなたは変わるべきだ、これは人生を変えるチャンスだ、と言われ、自身を納得させるもやはりそれは自己を否定していることになる。観ていてとても心が苦しくなりました。あるバス停の広告に向かって感情吐き出すシーンや最後の自分の気持ちを家族に素直に伝えるシーン、家族愛を強烈に感じるシーン等が多く描かれており、今思い出しても涙が出そうになります。
この映画の凄い所は、悪役が居ないことです。それぞれが自分の正義や信念を持っているので誰もそれらを否定出来ません。だからこそもっと考えなければいけない。そんな社会風刺な作品でもあります。もし日本で公開されたら是非観てみて下さい。


ここまで褒めまくりましたがキリスト教等日本には馴染みのない点が多いのでスコアは4にしました。