このレビューはネタバレを含みます
ネタバレ
南米解放革命を駆け抜けたシモン・ボリバル
名前だけは聞いたことがあるシモン・ボリバル。彼が南米大陸でなした対スペインからの解放革命全史と生涯が描かれる。
劇中に思わず引き込まれるような吸引力というのはないものの、南米史の一幕を大まかに知るには十分な内容。
革命統一後の南米で金融支配をもくろむ銀行家のエピソードが史実か脚色か分からないが、小狡く最高度に腹黒い唾棄すべき害虫の中の害虫でもある銀行家の嫌な感じは良く伝わってきた。
ボリバルがその静かな〝強請り”をはねつけた為に追い詰められ暗殺されたという落ちではあるが、一般的に流布しているのは病死という説なのでたぶん脚色なのだろう。
皮肉なのは彼がスペインから〝解放”させたベネズエラ・コロンビア・ボリビア・ペルーが現在では政情不安な貧国に留まっているということ。
スペイン植民地だった中米諸国も同様の政情不安な貧国である場合が多いことを鑑みるに、かつての宗主国が残したのはスペイン語と暴力・混乱と貧困だけだったのだなぁと嘆息してしまう。
3.4の三ツ星
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