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マリア・ブラウンの結婚の10000lyfhのレビュー・感想・評価

マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)
3.5
大戦後ドイツの混乱と復興の 9年間(ラストは 1954年ワールドカップ決勝)を、実業家男性を手玉にとり自らのビジネスの才も生かし成功しつつ、戦時中に結婚し戦後に自分の殺人罪を被り収監された夫への愛を貫いた女性の、短くも波乱に富んだ濃密な人生。戦後ドイツのスカーレットオハラとも、ビジネスウーマン版気狂いピエロとも言いうる女性で、それが悪いわけではないが男性目線の、ある種の理想の女性像であり、主人公の内なる声は聞こえてこない。序盤に巻き込まれた人物を殺害し、合意ありきとはいえ夫を収監させる主人公には感情移入できなかったが、そんな距離を置いた描き方が、彼女を戦後ドイツの体現とも解釈可能にしている。ファスビンダーとしては普通めのメロドラマだが、冒頭の赤ちゃんの泣き声と空爆とクラシックオケのミックスを筆頭にサウンドコラージュ、商談シーンや家族集合シーンでのコレオグラフィ、実業家の葬式の陰で彼氏に胸を揉まれる主人公の母など、ファスビンダーらしさは随所に健在
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