チャンミ

とんぼの眼のチャンミのレビュー・感想・評価

とんぼの眼(2017年製作の映画)
3.0
フィルメックスのコンペ部門で。

中国中(クレジットで桃園市という字を見たから、もしかしたら台湾含)の監視カメラ何台もから抽出した映像をもとに、勝手に物語をはめていくというアイディアはおもしろい。
また、その物語が転んで、主人公格の男女の、女のほうは尼になろうとした寺から外の世界に出て、美容整形外科のモニターとして安く手術を受けたとほのめかされ、その後もしやネットアイドルのあの子になったのでは!? 、と男のほうから探索されるのだが、その男が女を追い求めるあまり女と同じ容姿に美容整形するというクィアな展開も興味深い。

カメラがとらえた衝撃映像! 的なものが時折挿入され、その暴力性と、物語が尼寺ではじまり尼寺で終わること、その寺にある老齢の木が移される、つまり結果として死ぬ可能性が高いというエピソードと、中国の各地が発展途上ゆえか落盤などに見舞われて近代の象徴としての建物、車、飛行機などが壊れていく、様が重なった。
クィアな展開も含めて、「破壊と再生」や「転生」がテーマのひとつだったのかな。

が、とにかく粗い映像と、監視カメラゆえの引きのショット続きで見続けることへのストレスが大きすぎる。
1時間を超える商業映画としてはサービス精神が少なすぎるというか、もっとコンパクトに切り詰めて20-30分程度のアート映像と銘打たれていたら、印象がちがってたかも。
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