ブタブタ

赤×ピンク ディレクターズ・ロングバージョンのブタブタのレビュー・感想・評価

3.0
桜庭一樹は正直好きな作家でなく(作品がという意味)著作は殆ど読んでない。
でも『赤×ピンク』は最初のファミ通文庫版を高橋しん・イラスト表紙に惹かれて買って読んだ。
小説やアニメのモデルになった場所・舞台を訪れる「聖地巡礼」があるけどこの『赤×ピンク』に関しては気せずして聖地巡礼してしまったというか不思議な体験?があって舞台となる廃校の小学校、夜毎に非合法ガールファイトが開催される場所のモデルとなったと思われる場所に偶然にも行った事がある。
(と自分が思ってるだけの可能性有り)
「六本木駅を出て麻布方面に横道を下った先に統廃合で廃校になった小学校の廃墟がふいに現れる。そこの道は分かりにくく一度行った筈でも二度目は必ず迷ってしまう」
と小説に書いてある通りの場所と建物があったのを覚えてる。
小説劇中に出てくる舞台、おそらくここは廃校になった三河中学校でそこの体育館を使って行われた写真展、暴走族やその改造バイクの写真で知られる吉永ノリユキ個展『サンキュー39』を見に行った時の事。
六本木駅を出て入り組んだ細い道を迷いながら進んだ先に廃校になった学校が現れて、あーここは『赤×ピンク』のあの場所だって直ぐに思った。

映画に関してはずっと見たいと思いつつ忘れてた。
坂本浩一監督はウルトラマン、仮面ライダー等特撮で有名な監督。
映画と小説は違うからコレはコレで良いと思う。
3対3の勝負でガールズブラッド存続を掛けての戦いとか、映画のストーリーとしてのクライマックスは正しいと思う。

小説『赤×ピンク』はまゆ、ミーコ、皐月の三人を主人公とする三話からなる連作で映画はあくまでも皐月を単独主人公としてストーリーの中心とし結末も『赤×ピンク』の最終エピソード「おかえり、皐月」に準じている。
ただ角川文庫新装版後書きの山崎ナオコーラ先生も書いてるんですが第一話「〝まゆ十四歳〟の死体」が余りに凄すぎてこの第一話で『赤×ピンク』は完璧に終わってて後はオマケにしか思えないというか、やるなら全く方向性は違ってたけど「〝まゆ十四歳〟の死体」をやって欲しかったところ。

おそらくこの映画見てから原作読もうって人はいないと思うので残念。

「〝まゆ十四歳〟の死体」は、主人公の女性は本当は21歳だけど14歳の少女に扮して夜毎地下賭け闘技場のリングに上がる。
この格闘技場は〝檻の中〟であり一種の時間が停止した世界で(だから〝まゆ十四歳〟)ありそこから脱出してまゆが真由という女性になり再び自分の人生を歩み出す迄を描く。
この14歳という年齢と時間が停止した世界って思う時、どうしても『エヴァンゲリオン』『少女革命ウテナ』を思い出して両方共がTV版では決着が付かず中途半端で納得いかない印象だったのが『〝まゆ十四歳〟の死体』読んだ時にあの時自分が見たかった結末は正にこれなんだと思った次第。

庵野秀明監督の『ラブ&ポップ』は何で之が出来なかったのか、そして『赤×ピンク』映画化するなら庵野秀明監督にやって欲しいなとか思ってた。
坂本浩一監督は仮面ライダー撮ってきた人だけど今度は庵野監督が仮面ライダーを撮る。
『赤×ピンク』を巡って何かそんな事を思った次第。
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