トムヤムくん

ネットワークのトムヤムくんのレビュー・感想・評価

ネットワーク(1976年製作の映画)
4.0
再鑑賞。『十二人の怒れる男』や『セルピコ』『狼たちの午後』など数々の名作で知られるシドニー・ルメット監督の代表作のひとつ。

ニュース番組の司会者が視聴率低下でノイローゼとなり、番組の放送中に自殺予告をしたことで視聴率が急激に伸び始める話。

SNSが誕生するはるか昔、まだテレビが派遣を握っていた時代に、現代でも通用する風刺のような社会派映画が作られていたことにまず衝撃を受ける。

70年代という暗黒の時代だからこそ生まれた作品だというのに、ストーリーやテーマには普遍性があって、それは何年経っても色褪せないのがすごい!

またアカデミー賞では主演男優賞、主演女優賞、助演女優賞、そして脚本賞を受賞したことからも、そのクオリティの高さが見受けられる。

ひとつの作品から5人もの演技賞ノミネートが出たのも現代に至るまで未だに『ネットワーク』のみで、文句なしで素晴らしい映画だと思う。

ちなみに主演男優賞を受賞したピーター・フィンチは、ノミネートが発表された直後に心臓麻痺で死去。アカデミー賞史上初めての故人の演技賞受賞となり 、皮肉にも『ネットワーク』本編との共通点が話題となった。

また助演女優賞を受賞したビアトリス・ストレイトは、アカデミー賞史上最も短い出演時間(5分40秒)で演技賞を受賞した女優となった。