こたつむり

ネイキッドのこたつむりのレビュー・感想・評価

ネイキッド(2017年製作の映画)
3.9
♪ Can you celebrate?
  Can you kiss me tonight?
  We will love long long time.

いわゆる『恋はデ・ジャブ』系。
というか、基本的なプロットは同じ。
主人公が時空の檻に囚われて、何度も同じ時間を繰り返すやつですね。オリジナル要素としては、登場人物の黒人比率を高め、結婚式を絡めた部分でしょうか。

なお、音楽的な部分は本作の方が上。
特にエンディングについては、本職のミュージシャン(ブライアン・マックナイト)を出演させているだけあって、なかなかの聴き応えでした。

あと、ギャグ要素も過激度がアップ。
何しろ、主人公が目覚めるのはホテルのエレベーターの中で、しかも裸。画面には映らなくても、ナニがナニで右に左にナニなわけで。そのシチュエーションだけで面白いのです。

しかも、原典で大切な部分はキチンとトレース。
正直になること。
あきらめないこと。
そして、それらを踏まえて人間的に成長すること。そこを押さえていれば、駄作になるはずがありません。寧ろ、旨味しか残らないのです。

但し『恋はデ・ジャブ』は一日の繰り返し。
本作は一時間程度の繰り返し。
この違いはちょっと物語に無理をさせている感が否めず、色々と引っ掛かったのも事実。一時間ってあっという間に過ぎ去りますからね。

また、ループの原因が不明瞭なのも微妙。
『恋はデ・ジャブ』も明確ではありませんが、一応「アレの所為で閉じ込められたのかな」なんて思うくらいの“深み”はありましたんで…この辺りは好みが分かれるところだと思いますが。

あと、好みで言えば。
最後まで主人公を好きになれなかったですね。『恋はデ・ジャブ』は嫌味な主人公が心を入れ替える…という設定でしたが、本作は“浮雲的”な主人公が人生を見つめなおす…という流れ。その説得力がちょっと足りなかった気がします。

まあ、そんなわけで。
大好きな系統なので苦言も多めになりましたが、作品単体としては傑作と呼んで間違いではないレベル。NETFLIXだけでしか観れない…なんてモッタイナイ話だと思います。機会があれば是非に。
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