塩故障

顔たち、ところどころの塩故障のレビュー・感想・評価

顔たち、ところどころ(2017年製作の映画)
4.8
後期になるにつれ(特に『落ち穂拾い』以降)、アニエス・ヴァルダの興味関心は、物語映画の制作と言うよりも、(大衆の解体による)個人性の発見へと向かっていた。彼女のドキュメンタリー作品の面白いところは、他のドキュメンタリー作品よりもいっそう、直接的な形でもって、監督者自身をも暴き出そうと努めること。至る所に隠れた"顔たち"を発見しようとする試みは最終的に、監督であるアニエス・ヴァルダ自身の発見へと帰着する。今迄の作品群が本作中に引用されており、まるで集大成のような様相を呈している。アニエスが監督である自分自身をも発見できたのは、他でもないJR(ひいては旧友のJLG)の力添えがあったからであり、これは紛れもなく、"顔たち"のためだけの作品にはとどまらず、ましてや、彼女のためだけの作品にもとどまらない。
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