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フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のtomtomcafeのレビュー・感想・評価

3.5
観たあと落ち込んでしまってしばらく何を感想としてよいかわかりませんでした。
ちなみに「プロジェクト」は広い意味での「団地」や「集合住宅」の意味がありますが、この映画のタイトルの場合は貧困層の共同住宅みたいな意味合いです。

ウィレム・デフォー演じるプロジェクトの管理人は、安モーテルの部屋をなんらかの理由で家を借りれない人や貧困の人に貸しています。
主人公の女の子と母親も貧困の中で生活する親子なのですが、親子ともにまともな教育を受けていないせいか粗暴で、感情のおもむくままに生活します。
ただこれはこの母親が子どもだったころからおそらく同じ境遇で、この一家が長い間貧困から抜け出せないことを物語っているように思いました。
そんな親子に対して管理人は金銭的や物資的な手助けはなくても生き方の軌道修正を試みるのですが、母親に反発されて親子はますます絶望的な状況に陥ってしまいます。

印象に残っているセリフが2つ。
自分の要望が通らなくて悪態ついたときに母親が言われた「だから貧乏なんだ」と、母親を思いやった管理人に言った「親でもないくせに」。
どうにもできない母親の境遇が端的にあらわれていて心が痛くなりました。

救いがあったのは子どもが終始しあわせそうだったこと。どこかで貧困のスパイラルが終わればいいなと願うばかりです。
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