疎遠の父子の最後の旅。
余命僅かなカメラマンと終焉間近のコダクロームを掛け合わせたストーリー。
コダクロームと言えば写真製版のスタンダードとしてアナログ時代に君臨した35mmフィルムの王者。
発色の良さ、高解像度、耐変色など写真愛好家の間でも人気を博したフィルムである反面、多層染色のK-14現像という手間のかかる現像方法はデメリットでもあったそうだ。
そんな扱いの面倒なフィルムと仕事一筋で家庭を顧みず破天荒な言動で身内を不快にさせた父ベンをダブらせ、親子の絆を蘇らせながらコダクロームへの敬意を表しているように感じた。
だが、
疎遠の息子を旅に駆り出す動機付けとしてレコード会社の落ち目ディレクターという役柄を思い付いたんだろうが、小便の件で途中切れしてしまい、最初と最後では違う映画のようになったのは残念。
それとこの手の映画にありがちな恋愛発展は不要、エリザベス・オルセンがいくら美人だからといっても冒頭の “妙な女” から “恋愛対象” は蛇足以外の何者でもない。
しかも途中でいなくなるし。
コダクロームの終了は一つの時代の幕引き、人の命と同じように終わってみれば呆気ない。
途中ベンは語る「俺の仕事は死後にも残る」
それを裏付けるようなエンディング。
コダクロームの鮮やかさが印象に残った。
監督 マーク・ラソ
キャスト
エド・ハリス
ジェイソン・サダイキス
エリザベス・オルセン
ブルース・グリーンウッド
ウェンディ・クルーソン
デニス・ヘイスバート