サトミン

希望のかなたのサトミンのレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
3.8
舞台はフィンランド。
フィンランドのおじさんとシリア国アレッポからの孤独な移民の男
二人のドラマが交互に描かれ、途中で結びつく。個人的に大好きな展開。
監督の演出が巧みですね。
主人公二人とも感情を激しく表現したりはせず、黙々とその日その日の出来事をこなしていく。
テーマは重いのですが、淡々と日常に溶け込ませています。
それが、他人事ではなく、自分事に置き換えられていた。
でてくるキャスト、序盤では、あまり良いイメージに見えなかったが、実は、みんなとても暖かい心の人で、心がほっこり。
挿入音楽というか、ながしが歌う唄が作品のアクセントになっている。
難民問題について、この映画のように、淡々とそして優しく考えられたらよいな。
監督の次の作品、観てみたくなった。
以下、メッセージを抜粋。
アキ・カウリスマキ監督からのメッセージ
私がこの映画で目指したのは、難民のことを哀れな犠牲者か、
さもなければ社会に侵入しては仕事や妻や家や車をかすめ取る、
ずうずうしい経済移民だと決めつけるヨーロッパの風潮を打ち砕くことです。
ヨーロッパでは歴史的に、ステレオタイプな偏見が広まると、
そこには不穏な共鳴が生まれます。臆せずに言えば『希望のかなた』はある意味で、
観客の感情を操り、彼らの意見や見解を疑いもなく感化しようとするいわゆる傾向映画(※)です。
そんな企みはたいてい失敗に終わるので、その後に残るものがユーモアに彩られた、
正直で少しばかりメランコリックな物語であることを願います。
一方でこの映画は、今この世界のどこかで生きている人々の現実を描いているのです。
※傾向映画とは1920年代にドイツおよび日本でおこった、商業映画の中で階級社会、
および資本主義社会の矛盾を暴露、批判した左翼的思想内容をもつプロレタリア映画。
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