シネマ歌舞伎 第2弾
籠鶴瓶花街酔醒
(かごつるべさとのえいざめ)
またまた、玉三郎&勘三郎共演とのことで、観る前からワクワク♪
江戸時代 享保に実際に起きた"吉原百人斬り事件"を元に、三代目 河竹新七(黙阿弥の門人)が明治21(1887)年に書いた世話物。
初演は1888年。
あらすじは、、
上州(今の栃木県)の絹商人 佐野次郎左衛門(中村勘三郎)は、仕事のできる気の良い男だが、顔中あばただらけで、とんと女には縁がない。
江戸に商用で行った折、ちょいと土産話にでも…と立ち寄った吉原で見かけた花魁八ツ橋(坂東玉三郎)に、雷に打たれたように一目惚れしてしまう。
商用の度に通い詰め、いよいよ見請けを、、という話にまでなったのだが、八ツ橋には浪人の栄之丞(片岡仁左衛門)という間夫がいたのだった。
八ツ橋の養父 権八(中村彌十郎)の入れ知恵もあって、八ツ橋は次郎左衛門の見請け話を、お座敷の皆の前で無下に断ってしまう。
とんだ大恥をかかされた次郎左衛門。
その時は、悔しがりつつ鷹揚な素振りを見せていたように思えたが、その四ヶ月後、、
とにかく、八ツ橋の花魁道中が華やかで艶やかで、ため息しか出ない。
いやー、あの玉三郎さんの流し目はいかーん!!
花魁下駄で摺り足が、しっとりと艶かしい。
次郎左衛門付きの下男役 中村勘九郎、遊女の七越役 七之助と勘三郎の親子共演も、今となっては貴重でしみじみと味わい深い。。
次郎左衛門を気遣う遊女 九重(中村魁春)が何とも優しく、静かな愛情を思わせる。
どうしたって持って行ってしまう片岡仁左衛門の栄之丞が色男過ぎて、あばただらけの次郎左衛門が気の毒。。(このあばたが、如何にも筆で描いたっぽくてちょっと笑えるが…)
頂点からどん底に落とされた男の悲哀。
それにつけても、妖刀 籠鶴瓶を手に狂気を孕んだ表情で言い放つ次郎左衛門の
"籠鶴瓶はよく斬れるなぁ…"の台詞回しのおどろおどろしさ!
そして、斬られて倒れゆく八ツ橋の何とも言えない美しさ。。
吉原での"惚れた腫れた"は、一筋縄ではいかぬとは言え、何とも切なく哀しい結末に、タイトルの如く夢から醒めたような気持ちにさせられたのは、私だけではあるまい。。
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シネマ歌舞伎は2作目だけれど、少しずつ楽しみ方がわかってきた気がする。
主役は勿論のこと、脇役の役者さん達の職人のような演技も燻銀のようで、心に残る。
他の作品もどんどん観たくなってきた!
次回も楽しみ♪
玉三郎さんの花魁独特の言い回しは、やっぱりどこか'コウメ大夫'やなぁと思ってしまう歌舞伎素人な私…笑
(そんなアホなこと言うたら、歌舞伎通の方に怒られてしまいます🙇♀️)