映画大好きそーやさん

ザ・メカニカル・カウの映画大好きそーやさんのレビュー・感想・評価

ザ・メカニカル・カウ(1927年製作の映画)
3.4
物の特性を活かしつつ、特権的作風を全面に押し出した、オズワルド・ザ・ラッキー・ラビットシリーズ3作目!
本作は、機械である牛とオズワルドとの交流、そしてガールフレンドとのロマンス(定期)を描いたお話です。
牛が機械である必要性の有無が気になる方もおられるかと思いますが、前提が機械であるということをフリにしたコメディシークエンスを展開することだけに、この設定は使われていきます。
これまでの作品群では、レールの幅が広くなったり狭くなったりするのに応じて、トロッコ自体の横幅も広くなったり狭くなったりするというように、こちらの固定観念的知識を前提に、ぶっ飛んだアニメーション表現がなされていました。
今回はそこに1つ緩衝材が入ったようなかたちとなっており、これまで以上に作品に入り込みやすく、何でもあり感を軽減していたと思います。
これに関しては、本作の特性上賛否が分かれそうな部分ですが、私個人としてはなるほどなと納得しながら観ていました。
牛であることにも描写として意味をもたせられていましたし、劇伴の使い方も1番上手かったと思います。終盤のシークエンスには、ある種のカタルシスのようなものさえ感じることができました!
ちなみに、敵方(ここではあまり触れませんので、ぜひ本編を観てみて下さい)が牛の乳首を握ってしまって、乳が思いっきり噴射されるシーンが、本作で最も気に入ったシーンです。
兎にも角にも、ここに初期オズワルドシリーズの到達点を見たような気がしましたね。
総じて、ヘンテコな発想を上手くアニメーションとして昇華した、オズワルドシリーズの1つの到達点的作品でした!