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バルバラ ~セーヌの黒いバラ~のodyssのレビュー・感想・評価

2.0
【フェイク】

フランスで一世を風靡した歌手バルバラの生涯を描いた映画・・・ではなくて、バルバラの生涯を描いた映画を作ろうとする、というお話です。

批評家にはウケがいいらしいのですが、私は評価しません。
フランス映画にありがちなフェイクだな、と思ったからです。
 
つまり、材料に正面から向かい合って格闘するのではなく、ちょっと視点をズラして、斜に構えて芸術ぶって、そのくせ余り手間暇をかけずに作品をでっち上げる手法。

映画を作る話を映画にする、こと自体は珍しくありません。 
しかしそういう映画を作ろうとするなら、バルバラという実在の歌手について徹底的に調べて、まだ生身の彼女を知る生存者もいるでしょうからちゃんと取材して、しかし得た材料全部を使った映画は無理だから、どういう視点を残すのか、何を捨てるのか、全体の趣向をどうするのかを少しずつ決めていき、また実際に撮影する段になってから俳優やその他のスタッフの意見や何かで変わってくる場合もあるからそういうシーンも入れて・・・といった、色々な段取りが必要です。

でもこの映画は、要するに必要な労苦と手順を踏んで作られてはいないのです。
なので、フェイクと私はこの映画を呼ぶのです。
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