ラブレス(LOVELESS)
この映画🎞は、"アレクセイが自分の存在を否定され、声を押し殺して泣き続けるシーン" がすべて。初めから余りにも残酷すぎて、辛い127分間でした。
離婚協議中のボリスとジェーニャは、12歳になる息子アレクセイの親権を押し付け合い衝突します。それをドアの陰から聞いていたアレクセイが声を押し殺して泣き続けます。食事が食べられないと言うと "捨てろと言うの?” と心無い言葉を浴びせる母親、そのまま学校に出掛けて行ったまま2度と映像には映りこんできません。
両親がアレクセイの失踪に気づくのは2日後、気づいても悲しむ事なく、ただお互いを罵り合うだけ。さらに子どもが失踪しているのに "中絶しておけばよかった" と言う始末。この映画のどこにも愛情が全くなく、自分という存在を一番身近に理解してくれているはずの両親から愛されず、アレクセイの気持ちを考えるだけで心痛みました。
しかしこのような重い題材の作品としては、かなり分かりやすく、残酷なんですがメッセージもはっきりしていて心に響いてきます。
ピアノの不協和音やロシアの寒い冬の景色が効果的に映し出され、映像や音楽、演出など映画としてはとても洗練されていて、心情描写も繊細に描かれています。
徹底された残酷なストーリーと映像・音楽、優れた作品である事は間違いありません。