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英国総督 最後の家のメルのレビュー・感想・評価

英国総督 最後の家(2017年製作の映画)
4.0
世界の紛争や戦争の原因はほぼ「宗教」と「利害関係」ではないだろうか。

ポスターからすると楽しげでコミカルな印象ですが、かなりシリアスで歴史的な事が詰まった物語です。

長い間イギリス領だったインドが1947年に独立を果たすまでの政治的な駆け引きと、それに伴う大変な混乱と100万人死亡という悲劇。

問題は多数派を占めるヒンドゥー教徒が望む「統一インド」としての独立か?、少数派のイスラム教徒がパキスタンとして分離しての「インド・パキスタン分離独立」か?

最後まで「インド・パキスタン分離」には反対だったガンジーは、イスラム教徒の指導者を首相にして統一インドを…という驚きのアイデアまで出すが…。

振り返ってみれば独立したその1947年から1999年まで3回の戦争と幾つかの紛争を繰り返しているインドとパキスタンの根源がここにある。
ガンジーにはその後の長い長い争いが予測できていたのかも知れない。

自分に課せられた任務を現地で全うしようと必死に努力する総督を完全に無視して、裏で自国の都合の良い様に画策している英国政府というのは、「アラビアのロレンス」を観た時と同じ印象だ。

'' History is written by the Victors '' ( 歴史は勝者によって記される)という最初に出て来た文の意味深さが見終わった後に心に残る。


インド初代首相のネルーやパキスタンの初代総督のジンナーの映像が出てくるのですが役者が良く似ていてビックリ!
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