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さらば青春の光のkyのレビュー・感想・評価

さらば青春の光(1979年製作の映画)
4.0
モッズ文化を知るにはこれだ!ということだったので。モッズかロックか?というクエスチョンに、どちらも素敵な文化じゃないか。と応えたい。彼らの行き場のない葛藤は相手を蔑むこでしか癒せないわけではないはず。

ジミーは平凡で退屈な日常の中にも、クラブやパーティで仲間と戯れる時だけは楽しめた。しかし、ドラッグに喧嘩、そしてついに暴動へと発展してしまう。

リーバイスは履いたまま濡らしてサイズ調整。タイトなスリーピースにモッズ。汚れない様にエンジンの覆われたスクーター。フレッドペリーのシャツ。これがイギリス文化かあ。格好いいです。

モッズかロックどちらかを選ぶ必要も無いはず。今見ればファッションだからどっちも違くてどっちも良いはず。どっちを着てもいいし、どっちに浸っても良い。だけどどちらかに属して、ネガティヴにいえば、そこに固執している自分の姿が良いのでしょう。

両親の心配とは裏腹にドラッグに喧嘩。今の日本では考えられませんし、自分はやりません。しかし、ドラッグや喧嘩が悪いとも思いません。確かに法的に規制される事柄ですが、それも大袈裟に言えば人類の歩んだ道。そう思えば、この映画はより輝いて見えます。

まともってなにさ?ジミーの問いには心が揺らぎます。まとも、普通に押し込められて、ドラッグや喧嘩をしないのは正誤で言えば正。しかし逆は誤りか、と言われればそうでもないと思いたい。それが彼らの愛したモッズなのですから。愛のためなら命をかける。法をも厭わない。そういうことなのでしょう。

ジミーの行き場のない葛藤は叫びや暴走へ。そして彼女との思い出での場所に。この当時の、モッズをの様な文化を愛することと人を愛することは何方も弊害が伴うということを教えてくれます。今であればオンラインであらゆるものが可視化されることで弊害を避ける事ができますが、この映画ではその弊害は暴力によってすぐさま具現化されます。
それ故に全力でモッズや女性を愛して守りぬく彼らの姿に心が動かされます。

ラストのカメラワークはどうやったのかが気になりました。今でこそドローンで絶壁であろうと簡単に撮影出来ますが数十年前にはどうだったのか。
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