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ミスター・ガラスのmoekoのレビュー・感想・評価

ミスター・ガラス(2019年製作の映画)
4.0
3部作のフィナーレ。
野放しになっていたビーストと、その姿を追うデビッド。2人は対峙するも、両者とも捕獲されてしまいます。2人が収容されたのは、ミスター・ガラスがいる精神病院。3人が1つの場所に揃った時、起きたこととは…。
いやあ、面白かった。その一言に尽きます。大抵私はシリーズ最終作を見ると、最終作という盛り上がりも込みで、お祭りわっしょい!最高じゃん!となるのだけど、本作に関しては、シリーズとして面白いと言うより、この作品自体がめちゃくちゃ面白い。だからと言って、1・2作目の価値が低いかというわけではないです。もしかしたら30分くらい足せば1・2作目の内容を盛り込んで一作品にまとめることもできたのかもしれないけど、それとこれとでは深みが違います。この作品のために前2作品があったんだと思うと、もうシャマラン最高。
本作では、ミスター・ガラスが仕掛けるヒリヒリする頭脳戦の果てに、大ドンデン返しのオンパレード。アンブレイカブルもドンデン返しがあったし、そこにヴィラン誕生秘話の要素があったけど、今回のはレベルが違います。もっと根深いというか、何というか。真実を明らかにするという淡白なものではなく、真実の奥底まで抉り出すという感じ。たまらんです。
そして、例えヴィランと言えど、超人的な存在に憧れがあって、それを好きだと思う気持ちを再認識させられる内容でした。特にケビンのことがいつの間にか大好きになっちゃってましたね。だから、ステイプル先生みたいに理詰めで否定するのも個人の自由だし、彼らの能力が非現実的なのは百も承知だけど、彼女の言葉にはイライラしました(笑)。超人的じゃないにしても、誰かの能力やその人が自分自身で優れていると思う部分を否定する姿を見るのは、あまり気持ちの良いものではないです。あと、ヴィランもヒーローも何かの喪失をきっかけに能力を得ていて、その由来に対する憧れもあるのかな、と思ったり。何かを喪失するのはつらいし、なかなか立ち直れないけど、それをいつか糧にして立ち上がれたら良いな、と。
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