イワシ

荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻のイワシのレビュー・感想・評価

4.0
日本三大仇討ち「鍵屋の辻の決闘」を俗説抜きにリアリズムで描こうとする。仇討ち者四者の濃淡のある心理と各々の回想が多くを占めるが現在へ移行する瞬間の流麗なこと。いよいよ仇が迫る中、徐々に近づく蹄の音を忍んで耳を澄ます場面のサスペンスが何とも素晴らしい。三船敏郎らは仇討ちの実現に、観客はいかなる殺陣による仇討ちが待ち受けているのかというというサスペンス。

典型的な時代劇の大立ち回りを見せた後、いきなりナレーションがこれは脚色されてますとか言い出すし、現代の鍵屋の辻がドキュメンタリー的に映されるし結構実験的。終盤の殺陣のみっともなさ(加東大介が良い)が庵野秀明が『シン・仮面ライダー』でやりたかったことか。しかし、様式/リアルな殺陣を序盤と終盤で対比させる構成は『羅生門』そのままではないか。証言の真実性が殺陣に反映されるという点も類似する。
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