しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス(MAUDIE) サリー・ホーキンス主演
子供の頃から重度のリウマチで、一族から煙たがられているモードが叔母の束縛から逃れるために、住込み家政婦を募集していた魚商を営むエベレットの家のドアを叩きます。
頑固で偏屈なエベレットの言動は聞くに耐え難かたいですが、モードもやんわりとかわしつつ自分を譲らず主張する、そんな2人の距離が徐々に縮まっていく様子が、微笑ましくて心温まる気持ちになります。
象徴的なのが、結婚式の夜に片方は伸びてヨレヨレ、もう片方は穴だらけと自分達を一足の靴下に例え、薄明かりに照らされながらのダンスシーンはこの映画1番の見どころで心にキュンときます。
モードの描く絵は、素朴かつシンプルなんですが生命力に溢れ、ツライことも悲しいことも絵が包んで癒してくれる、そんな気持ちにしてくれます。
シェイプ・オブ・ウォーターの演技も素晴らしいですが、さらにその上をいくサリー・ホーキンスの演技力、ちょっとした仕草とか表情がこの作品を名画に仕上げます。亡くなる直前にルイスが笑顔で、"私はずっと愛されていた"とエベレットに話しかけるシーンは、温かい気持ちで一杯になりました。