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悪魔の水車小屋のBONのレビュー・感想・評価

悪魔の水車小屋(1945年製作の映画)
4.0
チェコ、モラヴィア・シレジア・ベスキディ山脈。山頂付近の谷に悪魔が水車を作ったという伝説に基づき、乞食が悪魔と出会い奇天烈な一夜を過ごす物語。

乞食の主人公の男はオルゴールの音色で生きものたちを楽しませようとするが、その古く錆び擦れた音から忌み嫌われている…。乞食を哀れに思った1人の少年がパンを差し出すが、優しい彼は別の物乞いにあげてしまう。別の物乞いはオルゴールのハンドルを残し魔法のように消えてしまう。

今まで生きものたちに逃げられていたオルゴールの音色が、今度は新しいハンドルが生み出す音色にダンスが止まらなくなる。
夜、嵐が吹き荒れ水車小屋に逃げ込む乞食。でも何かがおかしい。調度品が宙を舞い、食器が意地悪をして逃げて行く。小屋に住んでいた悪魔と遂に出会い、命がけのシーソーゲームが始まる…。

子どもが観たらトラウマになるほど、不気味で恐ろしい悪魔の形相。ここまで怖い人形で作ることができてしまうトルンカの圧倒的センスと、ウィットに富んだ世界共通の視覚的言語に感動。

顔を真っ赤にさせながら一晩中ハンドルを回し続ける乞食の姿と、踊り続ける悪魔の飛ぶ汗と熱気が画面越しに伝わるほど素晴らしいものだった。

不気味さがたまらなく好き。人形に生命が宿っている様は驚きしかない。
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