佐藤克巳

私の鶯の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

私の鶯(1943年製作の映画)
5.0
巨匠島津保次郎監督の満州映画協会・東宝共同製作、日本劇場未公開作品である本作は、ロシア革命、ボルシェビキ革命を経て満州事変、キメラ満州国建国迄の白系ロシア人亡命社会を描いた壮大な歴史劇であり、ロシア音楽を分団に盛り込んだミュージカル映画としても特筆すべき傑作。シベリア動乱の渦中、隅田父二本柳寛、母千葉早智子から逸れた娘満里子李香蘭は、高名なロシア声楽家養父デミトリーに育てられ上海から哈爾濱に移り住んだ。養父は、訪れた隅田友人進藤英太郎が南方の隅田に報告する旨を聞くと共に、演奏会がボルシェビキに脅かされた為、満里子を連れて郊外に潜む。満州軍閥頭目張学良の匪賊が乱暴狼藉を働き、養父は、満里子に満州服を着せて日本人居留民の避難所に逃すと、ロシア人仲間と身を潜めた。遂に満州事変が起こり、日本軍が哈爾濱にも進軍して来て満州にも平和が訪れた。その後、養父が演奏会で倒れ、隅田が哈爾濱に帰って来た。満里子は、父墓前に誓い歌手で自立するのだった。李香蘭の美貌と美声が最高潮に達した忘れ難い作品である。
佐藤克巳

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