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三度目の殺人のgyaro311のレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
4.6
誰を裁くのかは、誰が決めるのか?

この映画の最大のテーマであり、
その答えは、怖いものだ。
考えれば考えるほど、人ごとではなく、
怖いものだ。
人は本当に人を裁く資格を持ち得るのだろうか?

役所広司さんは「器」のような役者さんだ。
自らを滅することで、誰にでもなる。
今回は「三隅」という一人の人物の中に、
殺人鬼と、聖人、そしてただの凡人という
三人の人物を同居させることに成功している。
心の片隅から、
それぞれの側面が浮かび上がってくるような
素晴らしい演技だ。

そして監督はもう一つ、仕掛けていたのでは。
それは、答えは一つということだ。

事実だけを積み上げたらどうなるか。
事実だけを求めて矛盾を解けば
行き着く所は一つなのでは。
物証が示す事実だけを見つめ、
行動の合理性から外れる供述を省き、
人を殺めるだけの動機はなかなか無いという
原則に立ち戻るだけだ。

でも、それは難しいのだ。
大小様々な人の思惑は、
事実をどんどんどんどん曇らせていくのだ。

人間というはっきりしないもの。
割り切れないものを、
真正面から描いた名作かと!
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