是枝監督作品で法廷サスペンス?とあまりイメージが沸いてなかったのですが、観てみるとなるほど、役所×福山×広瀬の人間ドラマとして撮ってるなと思いました。
役所広司の演技派っぷりは光りますね。ころころと主張は変わるけど、殺人犯ではありながら悪人感は出さない佇まい、見事でした。
とはいえ気になったのは、サスペンスではなく人間ドラマとして撮っても、この題材だとストーリー上ではどうしてもサスペンス要素が気になっちゃったんですよね。
この映画、核心的なところは基本的に観客の解釈に委ねているので、サスペンスとしてはかなりモヤモヤを残したまま幕を閉じてしまう。
人が人を裁くことの是非や司法制度への問いかけという視点は、是枝監督作品ゆえのテーマ性で鋭く攻めている。
そのテーマ性とサスペンスとしての醍醐味をさらに両立出来れば、もっと傑作になったように感じてしまいました。