ドント

エクスペンダブルズ ニューブラッドのドントのレビュー・感想・評価

3.5
 2023年。新年、1月、お正月にふさわしい映画であった。いつものように世界がヤバいので、雇われ軍団エクスペンダブルズのステイサムとスタローン一行が銃と拳でやっていくアクション大盛り祭り4発目。
 祭りの規模や参加メンバーを縮小しつつ、縮小しすぎじゃない? と感じるくらいに縮小しつつ、繰り広げられるのはなんというか、4にして寅さんや劇場版コナンのような安定感・安心感でゆったりと観れるアクションであった。良くも悪くも予想も想像も越えてこず、適度なスリルとほどほどのアクション、それにキャラの関係性、というか生き様で回していくような……
「それにしたって盛り上がりがなさすぎる」「後半がタンカーでしか展開しなくて淋しい」「ジャンボ・シュリンプは何なんだ」などの不満もあるだろう。まったくそうだ。私もそう思う。特にイコ・ウワイスとトニージャーを持ってきておいて、絡みどころかこのくらいのアクションというのはいかにも侘しい。銃器や兵器を山と出しておいてほとんど撃たない、みたいなお預け感はどうかと思う。
 しかしながらこれらのアゲのなさ、淋しさがこう、ハイカロリーの映画に溢れる今においてとても優しく感じるのだ。1のような反骨のフェス、2のような満漢全席、3のような若手の出現、そういう強烈な何がしかがない。スルーッとどんどん進んで、悪い奴らをこらしめて、嬉しいサプライズもあったりして、何やかやでめでたしめでたし。いわゆるB級映画でも最近なかなかお目にかかれない素朴な味わいがここにある。心と体に優しいのだ。
 本作が日本では正月明け、1月5日公開であったのも「あ、狙った時期だな」と頷けた。おせちもいいけどカレーもね、の感覚である。つまりカレーライスのような映画ですね。エクスペンダブルズの4作目でカレーを出されても、と言われると言葉を濁さざるを得ないけれど、そこはほら、仕事始めの時期だから! ざっくりした味わいで進み全てが丸く収まって「ワッハッハ」で終わる本作を観ると、「よし、今年も頑張ろう!」「自分を曲げずに生きていこう!」となるでしょう? そういう映画です。
 なおジャンボ・シュリンプのくだりに関しては、「いくら傭兵と言えども、彼(ら)が非道なことをするはずがない」「つまりメッチャ悪い奴だったに違いない」と考えています。これもまた人徳ですね。ちんまりしててもいいし、メンバーの欠席が多くてもいいし、スタローンやステイサムの出番が3分でもいいので、ゆるゆると続いてほしい。
ドント

ドント