なつ

私たちはどこに行くの?のなつのレビュー・感想・評価

私たちはどこに行くの?(2011年製作の映画)
4.7
去年ヒットした“存在のない子供たち”のラバキー監督作。日本未公開は勿体ない…。

ムスリムとクリスチャンが半数ずつ暮らすレバノンの村。戦争で荒廃した村に平和が戻り、女達は安心して暮らしていたが、男達はすぐ諍いを始める。
村の平和を守ろうと女たちは戦略を練る…(フライヤーより)

ささいな事で始まる男達の喧嘩、ちょっとした事で政治バランスが崩れるのでは?と緊張感が走る。
ほんと男てアホよね、女はその裏で調整をはかる為にうまくやってる。
世の中をうまくまわしてる役割の大半は女じゃないのか?
(て事をレバノン映画“判決”レビューで、うめまつさんが記していたなぁ…うめまつさん思い出した、元気かなぁ)
なんで白黒付けたいんだろね?グレーで良いときもあるやん。
息子を失いたくないとの母親の想いを何故、わからない?
無数に並ぶ墓に若い男性の写真…。
戦争で愛する者を失い、平和への祈りを謳う母親達の普遍的な作品だ。

この村にロシア人?色気ムンムンダンサーを呼ぶ、言葉が通じないけど、そこは女同士、すぐ理解して共感して、協力するんだよね。
作品に登場する女性たちは、みーんなパワフルで、観てて気持ち良い!
後半は寓話的かもだけど、拍手喝采せずに居られない!!!
泣かされるけど湿っぽくはないし、ミュージカル的要素もあって、悲喜劇のバランスが素晴らしい!大好き!


以下は、佐野光子さんのトークショーより。興味のある方はどうぞ!
レバノンは多宗教・多宗派国家、“モザイク国家”と呼ばれる。(18宗派)
民族はアラブ系が95%ながら、大統領と国軍最高司令官はマロン派キリスト教徒から選出されるのが慣例。
キリスト教徒の海外移民やムスリムの出生率の高さから人口比が逆転。
加えてイスラエル建国により、パレスチナ難民の受入、ベイルート移転等で、レバノン国内の均衡が崩れ、1975年に内線勃発。
15年続いたので、本作は1990年初頭を描いているのでは?とのこと。

宗派体制が変換し、特殊な歴史を抱えた国なんだと知った。
面積は、日本の岐阜県程度で、人口は610万人くらい。
大体、380万人程度だったらしいから…
240万人も難民を受け入れている計算。
小さい面積でそれだけ受け入れるて異常な状態ですよね。
そりゃ何かと難しいはずだ。
なつ

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