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夜は短し歩けよ乙女のmitakosamaのレビュー・感想・評価

夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)
4.3
湯浅政明監督作2作目。マインドゲームから10年以上も空いてるんだよな。間にテレビシリーズを幾つかやってるけど、作家性の強い氏にはもっと映画を作って欲しいよ。
原作は森見登美彦の小説で、ノイタミナの「四畳半神話大系」の姉妹作的な作品。この映画を見る際はぜひ四畳半〜と並列して見て欲しい。

もうね、頭の中身がマトモじゃないね。ぶっ飛び過ぎ。
“四畳半”は、基本的に主人公の“私”による話なので、やっぱり男目線の話なんだけど、“乙女”は主人公の“先輩”もそうだが、ヒロインの“黒髪の乙女”も大きく話に話に食い込んでるので、むしろダブル主人公って感じ。
たぶん女性の方が“乙女”の方をより楽しめるんじゃ無いかな?と思う。

やっぱりめっちゃ酒豪の女子、ってのが良いよ。萌えキャラ少女キャラじゃない、アニメを見ない大人女子らに共感してもらえるキャラクターだと思う。酒が何よりも好きで、男に変に媚びない。マイペースだが協調性もある。世界観がヘンテコなのでヘンテコなキャラクターではあるが、本質的に同性に嫌われないタイプの女子であると思う。これってとても難しいのだ。

しかしヘンテコだ。詭弁論部の伝統の詭弁踊りだよ。なんだそりゃ???
詭弁踊りをヒロインがガニ股で口を尖らせて指を立てて行列して踊る。
なるべく目に留まるナカメ作戦を決行する先輩が、古本屋での我慢大会に勝ち、パンツ総番長の一目惚れの相手を捜す為の大学のゲリラ演劇部活動に参加する乙女を追いかけるが…
って!意味わからねえ!!!話だけ追っても意味わからねぇ!!!!

でもなぜか迫り来るジャンキーな映像に、一向に飽きることなく見れちゃうんだよな。本当になんなんだろう???

湯浅政明の独創性は今や日本でも世界でも奇異な才能だと思う。
正確性を得意とするデジタルの普及により、アニメーションの方向性がリアリズムにのみの進化し続けてる昨今。
明らかに時代と逆行する、縦横無尽に絵が動く面白さを追求した作風。デフォルメにデフォルメを重ね、パースの正確性を無視した作画。奇抜な色彩感覚。
個人的には手塚治虫のアニメーションの志向を最も継いだのが湯浅だと思ってる。(ストーリーテラーとしての手塚ではなく、あくまでアニメーター手塚の絵作りの方向性と言うこと)
手塚のアニメラマ等の抽象的なセクシャル表現は、湯浅で言えば、今作の“性欲の具現化ジョニー”であるし、マインドゲームであれば“機関車の石炭をくべるシーン”に繋がる。

この才能をもっと映画館で活躍させないといけないのだよ!もっとみんなで劇場に脚を運んで金を落としたまへ。マジでワンオフの才能をもつ監督なんだから。
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