短文感想 70点
『カメラを持った男』で有名なソ連のジガ・ヴェルドフの作品。彼自身初のアニメであるのですが、当時のブルジョワ階級を皮肉めいて描いている中々印象に残る作品です。お腹いっぱいになったブルジョワのおじさんを労働者階級の人が襲います。ソ連が出来て間もなく完成した作品ということもあり、プロパガンダ的要素がかなりあると思いました。今でこそ、アニメは子どもが見て普通。という固定概念がありますが、今作は子どもが見たら泣いてしまうかもしれませんね（笑）目の動きが不気味です。

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1924年ソ連の反ブルジョワプロパガンダアニメーション。“これがロシヤだ”('29)で有名なニュース映画・ドキュメンタリー監督のジガ・ヴェルトフが作ったアニメーション。(そんなキャリアがあったとは)

ソ連のプロパガンダアニメーションは共産主義を讃えるもののうち、反ブルジョワ・反西側諸国を強く打ち出すものが結構多いのですが…今作は反ブルジョワの中でも一番不気味かも…
肥え太ったブルジョワのパンパンに膨らんだ腹をハサミで割いて労働者(労働者だけでは上手くいかず、のち農夫と合体する)が税金を取り立てるという…
ブルジョワの周りにいる聖職者たち(ギリシア正教とカトリック)の爛々とした目つきも怖いが、この農夫もこわいってば。ハッピーエンドのような終わり方が薄ら寒い…

なぜ怖いかというと、資本家の腹を切り裂いて踏みつけて税金を取り戻すからでも、ラストで資本家を鎖につないで吊るし上げるからでもなく…アニメーション黎明期の手法として、切り絵で表情をあまり動かせず、眼球を動かすことで表情のメリハリをつけようとしているからに他なりません…
昔話などのアニメーションなら、こういう手法でも面白い仕上がりになると思いますが、革命を描くとなるとさすがに不気味です。腹一杯にご飯を食べても、労働者にハサミで腹を切られても、踏みつけられても、吊るし上げられても、ほぼ表情の変わらないブルジョワ！同じく腹をハサミで切ろうとも表情の変わらない労働者！こわい！

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最後に突如訪れる合体からの首吊りからのツリー化っていう力業がよかった