ぎんちょむ

ゲット・アウトのぎんちょむのネタバレレビュー・内容・結末

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

【はじめに】
 友人と恩師の勧めで「ゲット・アウト」を鑑賞。ホラー・洋画初心者の僕が率直に思ったことをここに記す。



【感想】

 「こ、怖いよぉ…怖すぎるよぉ…」

いや、ホラーとは知ってはいたものの、いくら何でも怖すぎるでしょ…笑 恐いし、グロい。
そして、全てが明らかになった時、衝撃だった。だって、だって…
「まさか脳移植してるとは思わないじゃぁん?!」
「地下室は入れない」みたいな発言が父からあった時、「うわ、絶対地下でなんかしてんじゃん…」とは思ったよ!でも、まさか、まさかねぇ? サイコパスすぎんだろ!笑

これが、鑑賞後抱いた率直な感想。
ここからはレビューや解説動画などを見て、少し時間をおいて感じた今作の“ヤバさ”について語る。


・「恐い…だけじゃない!」
今作の魅力はなんといってもこれに尽きる。序盤からある妙な“違和感”。それはずっと消えることなく物語は進んでいく。使用人たちのどこか人間離れした異様な出立ち、表情。この「何かがおかしい」が最高に気持ち良かった。

また、今作はホラー的要素だけでなく、ここに社会風刺、メッセージ性をぶっ込んできた。
「人種差別をしてはいけない」
今作のメッセージはそんな単純なものではないと感じた。
「今も根強くある人種差別」
その“現状”を描いた作品なのかなとも思った。
パーティーの参加者がクリスにかける言葉は外見や能力のことばかり。誰もクリスという1人の人間のことを知ろうとしない。勿論、これは、参加者が彼を「優れた器であるか」の品定めしているからなのだが、
これを僕たちは実際に行っている気がする。
今作には監督の実体験をもとにしている部分があるらしい。このパーティーのシーンは、これまで監督が生きていて掛けられた言葉の数々ではないだろうか。
人々はが黒人に、無意識のうちに(意図して言っている場合もある…!)このような発言を繰り返すおかげで、人種差別はなくならない一方だ。
人々が持つ潜在的な人種差別の心を今作を通して、伝えたかったのではないだろうか。
この、「人種差別の現状」という大きなメッセージがきちんと作品に落とし込まれていて、度肝を抜かれた。はちゃめちゃに面白かった。


・「俳優たちの凄まじい演技」
いーやみんな演技うますぎね?
脳移植された黒人たちの奇妙さ。ローズの物語前半から後半にかけての変わり様(マジで別人に見えた…)。どれも素晴らしかった。

なかでも、特筆すべきはジョージナの泣きながらがら笑うシーン(「のぅのぅのぅ のおぅー」てやつ)だろう。
あのシーンは話している、笑っているのはローズの祖母、涙を流しているのはジョージナ本人ということになる。

この祖母の中から、一瞬現れるジョージナの苦痛の叫びが、観てて「すげえ…」ってなった。
泣いているのに笑ってる。この相反する行動ってやっぱ面白いし、惹かれるものがある。


・「数多ものメタファー」
「鹿」「ティーカップとスプーン」「フラッシュ」
挙げたらキリがないのだが、なかでも個人的に好きなのが「綿」だ。
クリスは監禁中、自分が座っていた皮の椅子を剥ぎ、そこから出てきた綿を耳に詰めることによって、催眠術から逃れ、脱出の突破口となった。
これは単純にストーリーとして「よくできてるなぁ」と感心したのだが、この「綿」のメタファーについて知った時、ひっくり返った。

このシーンは、文字通り、「綿を採取して、自由を得た」という意味になるらしい。以下サイトから引用。

「19世紀初頭から後半にかけて世界各国で奴隷制が廃止されるまで、白人の入植者が黒人奴隷を大農園(プランテーション)で働かせていた。アメリカのプランテーションでは、綿花の栽培が圧倒的に多かった。」

こんなこと思いつくぅ?!びっくりなんですけど…
他にも僕たちが気づかないだけで、たくさんの小ネタやメタファーが散りばめられてるのだと思う。そういったのも今作のみどころだ。


・「わかりやすさ」
「これ↑いる?笑」って感じだけど、僕にとっては大事なんです!
なんといっても、当方、「毎年コナン映画のトリックわからない民」ですから。
先日も100万ドル観てきましたが、全くわからなかった。
コナン君の言ってることがずっと分からないまま物語は進み、完全に「あれれーおかしいぞぉー」状態。そして、犯人へ辿り着き、事件のトリックも犯人の動機もわからぬまま、僕は映画館をあとにした…

とまぁ、これくらい理解力皆無なんです!笑なので、今作は分かりやすくて、楽しく観れました。シンプルだからこそ、役者の演技や演出が際立ってみえた。素晴らしかったです。

以上の理由から星5とした。



【さいごに】
 この映画を友人、恩師らから“おもしろい”と言われ、勧められた。 
僕は前述した通り、洋画・ホラー初心者だ。だから、鑑賞後は「こわぁ…」「グロぉ…」という感想しか抱かなかった。正直、何がおもしろいのかがわからなかった。しかし、レビューや解説動画を観ていくうちに、伏線やメタファーの存在を知った。
なるほど、こういうことか。観てすぐはよくわからない。ただ、時間をおいて、色んな人の考察やレビューを読む。そうすることによって、その作品の魅力に気がつく。そこで初めて“おもしろい”と感じるんだ。映画っていいな。

これからもどんどん映画を観て(特に洋画、ホラー作品)、映画の“おもしろさ”に触れていきたい。
ぎんちょむ

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