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ブルーム・オブ・イエスタディのodyssのレビュー・感想・評価

3.0
【ホロコーストの加害者と犠牲者の孫同士が交際したら】

主人公は現代ドイツのナチ研究所に勤務する青年。
彼の祖父はナチ親衛隊の将校で、彼は祖父のホロコースト加担をあばく研究を発表したために、親族から白眼視されたという過去があった。

そのせいもあってか彼は性格に難があり、短気で、妻との関係でも色々な問題を抱えている。

或る日、フランスから若い女性が研修生として派遣されてくる。彼女はユダヤ系で、祖母がナチの犠牲になったという過去を持つ。おまけに彼女も性格に難が・・・

性格に難がある若い男女が、過去のしがらみを抱えつつ、一緒に研究旅行をしたり、男女の関係に・・・という映画である。

祖父と祖母は加害者と被害者だったわけだが、その孫同士となると直接的に加害者や被害者であるわけではない。
そういう人間同士がどう付き合うのか、ホロコーストの過去を知ることと現在を生きることをどう融和させればいいのか、という難しいテーマに挑んだ作品。

だがしかし、である。
作品の意欲は買うけれど、成功作と言えるかどうか、微妙。
主役ふたりを性格的に難ありとすることで喜劇的な展開となっているのは、あまりシリアスな話にするのを避けたのであろうし、そもそも被害者・加害者の孫同士があまり重苦しくホロコーストを語るのはかえって不自然で、場合によっては教科書みたいな「よい子」的な感じになるという考えもあったのだろう。

ただ、この映画ではふたりの性格の壊れぶりが相当なので、喜劇を通り越して作品自体が壊れた印象を喚起しかねない。人により評価が分かれそうな映画だ。
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