菩薩

毒薬/我慢ならない女の菩薩のレビュー・感想・評価

毒薬/我慢ならない女(1951年製作の映画)
4.1
ギトリ流「笑ってはいけない計画殺人」。コメディなのかホラーなのか、とまぁもちろんどちらかと言われれば完全にコメディなのだが、とは言え時にコメディはホラー以上の恐怖をもたらし、ホラーはコメディ以上の爆笑を生み出す好事例だと思う。もちろん絶賛独身貧乏街道真っしぐらの俺としては爆笑を禁じ得ないのだが、これ笑えない人もそれなりの数いるのでは…?

関係が完全に冷め切ってしまった一組の熟年夫婦。会話らしい会話は特になく、あってもそれは互いに浴びせる罵詈雑言、食事時はラジオを爆音でかけなんとかその場をもたせる始末。互いに願うのはパートナーが一日も早く死に、そして自由の身になる事。妻は薬屋で殺鼠剤を買い込み、夫は自分の犯そうとしている殺人をどうにかして「正当防衛による殺害」に変換する術は無いものかと、その道のプロの元へ事前面談に出かける。もはや究極のサバイバルゲーム、やってくる決行の日、紙一重で別れる生死、そしてそんな一件の殺人事件が、寂れた地方の村に思いもよらぬ経済効果をもたらすのもなんとも皮肉で…(笑)。子供たちは「夫婦ごっこ」と称しナイフをその手に握り出し、お手製のギロチンをもって裁判ごっこまで始める始末、ギトリのこのブラック過ぎる笑い、貴方は笑える方の人間でしょうか?それとも…勉強になってしまう方でしょうか…?くれぐれも早まった事はせぬようご注意を。

ちなみに最初の5分間は非常に丁寧な人物紹介、スタッフ紹介、ギトリはこういうとこ本当にマメな人ね。
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