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13の月のodyssのレビュー・感想・評価

13の月(2006年製作の映画)
2.5
【主役二人の過去が曖昧なまま】

池内博之監督作品。 

都会の仕事をやめてふらりと故郷に戻ってきた柏原崇。かつて彼と恋仲だった大塚寧々は子持ちの開業医(津田寛治)と結婚しようとしていた。彼と彼女の間には昔或る事件があって、二人が結ばれなかったのもそのせいだったのである。しかし、実は彼がいま突然故郷に戻ってきたのにも重大な理由があった・・・。 

というような筋書きなのだが、もう一つ物足りない感じがするのは、柏原と大塚の間に昔あった出来事がきちんと説明されていないからである。私も映画を見ているだけではよく分からず、改めてネットなどで調べてみなくてはならなかった。 

つまり、この映画は久しぶりに再会したかつての恋人同士の関係を情感優先で描写しており、なぜ二人が結ばれなかったのか、彼らが罪悪意識とどう戦ったのか、という肝心要――と私は思いますけど――のところはすっとばしているのである。 

それは結局、大事なのは彼ら二人だけであって、他の登場人物はあくまで彼らの刺身のつまでしかない、という印象を呼び起こす。つまり映画として出来がイマイチだ、という印象につながっていくのである。 

なお、吉沢京子が柏原崇の母役で出ているのがいい。顔にはだいぶシワが増えたし、体重管理のできないのはこの人の昔からの欠点だけれど、それでも相変わらず魅力的。もっと映画に出て下さい。

(以上は16年前に書いたレビューです。吉沢京子さんはさすがに最近は見かけなくなりましたが、私が若かったころ――1970年前後――はアイドルとして絶大な人気を誇っていました。)
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