原作はアメリカ人作家で、舞台もアメリカなのにとてもしっとりとした作品という印象。
脚本、監督がイギリスの方だからでしょうか。
15歳の少年が、たったひとりで「生きる」ということに直面していく。
遠くまで広がる荒野の様に、支えてくれる人も頼りになる人も居ない世の中の荒野(あらの)を只ひたすら歩くしか方法が無くて、ロードムービーと言うには余りに過酷。
レースに勝てず殺処分されそうな競馬馬のピートだけが唯一の友であり、心の支え。
他人には弱みを見せず心の内も明かさない少年が、馬のピートには父母のことを延々と語り続け「ダメ親父だけどお前と一緒にいたい」と、かつて父親に言われた事を明かす。
自分は愛されていたんだという記憶に必死に縋り付く15歳。切ない。
大海の中でたった一つのブイを見つける様なものだったけど、終着点があって良かった。
主演のチャーリー・プラマーは「ゲティ家の身代金」で誘拐されちゃった男の子を飄々と演じてましたが、今回も悲しみを露骨に表現しない演技が物語に深みを見せてました。
原題Lean on Peteは馬の名前ですが、少年はこの馬を支えに寄り添い生き延びられたというダブルミーニング的な所もあると思う。
そして今回の邦題はヒットだと思います。