突然、耳が聞こえない。
生活と仕事の全てが狂う事態。
現実を受け留めることができず混乱する。
徐々に現実を受け留め、これからのことを考えてどうすれば良いのかを模索する。
リアルな難聴の耳の状態に近づけた音響の演出は見事。当事者の気持ちに寄り添って物語が進展していく。
以下ネタバレあり
大金を工面した手術を決断したが、手術したことによって聾唖の仕事に就けなくなり、恋人と再会しても元通りの生活には戻れないことを互いに感じ取る。教会の鐘の音さえ苦痛に聞こえるなど、果たしてインプラントの手術の判断は正しかったのか?と、途方に暮れる。
聞こえる状態に戻りたい気持ちはわかります。
私も費用が用意できるのであれば同じ判断をしたかもしれません。
全てを狂わす難聴こそが憎いと思うが、その事実を受け留めることが大切だったと思えるような結末にしばらく反芻する。