ゑぎ

バーレスクの貴婦人のゑぎのレビュー・感想・評価

バーレスクの貴婦人(1943年製作の映画)
3.0
 殆どのシーンが劇場内で進行する、バーバラ・スタンウィック全盛期の魅力が弾けるバックステージもの。『レディ・イブ』『教授と美女』(いずれも1941年)や『深夜の告白』(1944年)の頃のスタンウィックだ。筋立ては、バーレスク出演者の連続殺人をめぐるミステリーなのだが、謎解きに面白みは無し。しかし、舞台シーンは面白いし、2つの楽屋と階段、バルコニーを使った人物の出し入れ、仰角俯瞰での高低の見せ方は見ごたえがある。

 舞台袖下手からみて2階にあたる部屋が女性の楽屋、3階が男性の楽屋。2つの楽屋は伝声管(『ラピュタ』の海賊船の中にあったようなパイプ)が通っていて、男女で会話ができるようになっている。また、舞台袖側には非常階段のような階段があり、度々この階段上を使った演出がある。さらに、女性の楽屋の窓から、広いバルコニーへ出られるようになっており、このバルコニーもプロットの舞台となる。本作はスタンウィックの圧倒的魅力を堪能する映画だが、同時に楽しむべきは、この美術装置と、これを駆使するウェルマンの演出だろう。

#配役等の備忘
・スタンウィックは歌って踊る。歌はお世辞にも上手いとは言えない。ダンスはなかなかのもの。コサックダンスや側転を披露。
・相手役のマイケル・オシェイはコメディアンの役で、道化の格好をしている。スタンウィックもコントで絡む。
・バーレスクが舞台であるからして、スタンウィック含め女たちの衣装は殆どの場面で皆薄着なので、目の保養になる。
・背の高い男優はフランク・フェントン。ヤクザの男はジェラルド・モーア。
・最初の殺人は衣装のGストリングで行われる。
・フランク・コンロイがかなりの老けメイクで劇場スタフの役。この人、この頃のウェルマン映画御用達俳優だ。『野性の叫び』や『牛泥棒』でも重要な役。
・殺人事件後に登場する刑事は、チャールズ・ディングル。雰囲気ある。
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