ちろる

ニコラス・ウィントンと669人の子どもたちのちろるのレビュー・感想・評価

4.0
1938年、第二次大戦開戦前夜のチェコスロヴァキアに居た、イギリスのビジネスマン、ニコラス・ウィントンは、ナチスの脅威からユダヤ人のこどもたちを救うためにとある作戦を実行する。
イギリスのシンドラーと呼ばれたこのニコラスは、まるでテディベアみたいに可愛らしいおじいちゃん。
ホロコーストから669人のこどもたちをチェコからイギリスへ里親に出し、救える命を繋いだ偉業を遂げていたことなんて一見分からないほのぼのな感じ。

びっくりするのは彼がその過去を家族にさえも隠していた事。
とある一粒の後悔の念が彼の中で彼はこの慈善活動した記憶をそっと封印させていたのだという。

再現ドラマという形で当時の状況が描かれるが、これを見て胸が締め付けられるのまだ幼い我が子を見ず知らずの外国人に里子に出す親の涙。
里子に出された子供たちへの両親から手紙はユダヤ人強制収容所への収監のニュースとともに徐々に途絶えたという。
子どもだけは助けたい。
その覚悟の選択が未来へと繋がったのだ。
ニコラスは言った
『筋の通ったことに間違いはない。』と

何がなんでも子供たちの笑顔を守りたいとあう愛は時代を超えて伝染していまも繋がる。
ニコラスでさえもここまでのことが想像できたわけではないけれど、確実に彼の魂は受け継がれた。
「70年前に思いついた事が時間を超えて多くの人たちに影響力を与えるだなんて思わなかった」
そう微笑むニコラスの無邪気さが好き。

一見不可能なようでも必ず道はある。
もし、ひとがそれに全霊を注ぎ絶対にやると決心したのなら・・・
政治家や大金持ちでなくても、志と少しの勇気で人を救うことができることをこれを観て知るこができる心打たれるドキュメンタリー。
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