トガシパンダ

幼な子われらに生まれのトガシパンダのレビュー・感想・評価

幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)
3.5
最後、娘に対して「どんな気持ちだった?」と聞いているところがこの映画の1番のシーンだと思う。いろんな親がいて、いろんな形がある。血の繋がりがなくたって、分かり合える親子はいる。まあけれど、生まれの親をどこかで求めてしまう、捨てられたという劣等感は大人になっても拭いきれないもので。子は、親の人生に付随せざるを得ないけれど、それで子が悲しい思いをするのは正当化されない。けれど、親も親で人間なんだよな。人間である前に親であるのか、親である前に人間であるのか。

2時間という映画の中で完結させるには、子に対しての真っ直ぐな愛情と、子が親を求める純粋な気持ちを最後に前面に押し出すしかないのだろうけれど、世の中には愛情のスケールが小さかったりゼロだったりする親がいるわけで、そんな親たちが最後この映画から存在しなくなってしまったのが気になった。そんな親を持つ子、かつて子どもだった大人がみるとこの映画は、救いではなく、むしろ傷つけてしまうだろうと思った。このラストは都合が良いというか、ハッピーエンドすぎて現実の乖離してしまっている。

自分が結婚したり離婚したり、親が離婚したり再婚したり。生まれの親がいないことによる劣等感は消えはしないけれど、薄めながら生きている。新たな家庭の形でそれぞれが、たったこの今幸せならば、きっとこの先も大丈夫。みたいなラストに救われたかったな。