s

21世紀の資本のsのレビュー・感想・評価

21世紀の資本(2017年製作の映画)
4.0
資本主義入門編。良作。

なぜ経済格差が生まれるのか を分かりやすく解説。権威のある教授が監修なだけあって、社会主義や共産主義に過剰に傾倒することなく、比較的淡々とフラットな語り口が好感を持てる。

資本主義はつまるところ資本家至上主義なのだから格差が広がるのは当たり前なのだが、我々日本人は民主主義と合体して教わったため無条件で良き思想として受け入れがち。資本主義の学び直し入門編として本作はかなり良い。少なくとも『マネー・ショート』より遥かに良い。

ただ劇中、上位1%の金持ちが、なぜ残りの99%を差し置いて金を増やし続けるのかの仕組みはかなり省略されて分かり辛い。そのためちょっと減点。

ざっくり補足すると、金持ちは株/不動産などの投資の複利で無限に富を増殖できるというわけ。

投資の世界では10万円を20万円にするより、1億を2億にする方が遥かに楽。ちょっとでも株をやったことがあるなら分かるはず。

株主というのは悪く言うと労働者が生産した利益のピンハネ屋なわけだね。

こうして金持ちは不労所得でウハウハで、我々労働者は景気の悪い状態が続く。

貧富の差というのは即ち、実体経済と金融経済の乖離。
この乖離を止めないと中世に逆戻りなのだが、阻止するのはかなり難しい。

ということを考えてかなりゲンナリさせられた。

しかし資本主義に関して描かれたもので、 ワクワクするものは嘘で、うんざりさせられたらその作品は本物 という持論が私の中にある。この作品は後者なので信用に値すると思う。おすすめ。

追記: 本物の金持ちというのはメディアには出たがらないもの。多くの人がトランプさんやデヴィ夫人やハリウッドスターなんかを金持ち扱いするのはちょっとズレている。賢い人ほど有名税の高さを知っているからね。むか〜しのテレビバラエティで、アポ無しでお宅訪問し夕飯を食べる番組があったが、田園調布は全世帯取材NGだったという。まあ本物の金持ちはそんなモンだよね。有名税すら節税する人たち。
s

s