ぽみょ

わたしは、ダニエル・ブレイクのぽみょのレビュー・感想・評価

3.8
近所の古本屋の店主にオススメされた一作。
カウリスマキ監督の枯れ葉を観たと言ったらこれもみなよって勧めてくれた。

ケン・ローチ監督はイギリスの社会派の映画監督。

貧しい人々、社会的弱者(彼らは弱者なんじゃなくて、社会の枠組みが彼らを弱いものに仕立て上げてる感じがする)にフォーカスし、困難に直面する人々の現状をありありと描き、現代社会のシステムに問題提起する映画。

初めのシーン、問診を受けるダニエルは問題ありのモンスターペイシェントかと思った。
でも彼の私生活を見ると彼はそんな人間ではないことはすぐに分かる。
ひとつの角度だけを切り取って写すことは簡単だが、多角的に見なければ本来の姿は見えない。
役人だってこの映画では悪者のように描かれているが、彼らの事情があって彼らから見たらダニエルは悪者だろう。

役所で一人の女性がダニエルを気にかけるシーンがあったが、個人の良心はほとんど無力なんだと感じた。

ダニエル・ブレイクに歓声を投げかけるだけの人々もけっきょくはただの野次馬で力にはならない虚しさを感じた。

なんであんなに役所手続きって複雑で煩雑でめんどくさいんだろ。わざと難しくしてるんじゃないかって思うくらい。国民の"民"という漢字は"目"という漢字を崩して作られたっていう説があって、人々の目を崩して国民が真実を見えないように作られてるって考えたら陰謀論みたいだけどゾッとする。

自分たちにとってオンライン手続きって便利だけど、実際上の世代にはハードル高いよなぁ。全然ユニバーサルデザインじゃないやん。

自分はまだこうした社会の諸問題の被害をこうむってないけど、それも時間の問題でいつそうなるか分からないしな。勉強していかないと。定期的にこういう映画見て実情に目を向けられるようにしたい。
ぽみょ

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