netfilms

デッドプール2のnetfilmsのレビュー・感想・評価

デッドプール2(2018年製作の映画)
4.0
 かつては腕利きの特殊部隊兵として、戦場のプロだったウェイド・ウィルソン(デッドプール)は、今はしがない傭兵として日銭を稼ぐ日々。そんな男がストリッパーとして暮らす運命の女ヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)と出会い、生まれ変わる。その真実の愛から2年後、ウェイドは麻薬カルテルやマフィア構成員を成敗するヒーローとして世界中を股にかけ暗躍していた。ガールフレンドのヴァネッサと同棲するメロドラマのような愛の巣。だがその幸せな日々にある日突然、亀裂が走る。軽快なコメディとしての魅力を讃えていた前作から一転し、ここでいきなり繰り広げられるのはかけがえのない者を失う男の悲劇に他ならない。だが改造され、強靭な肉体と共に不老不死の命を手に入れたデッドプールは簡単には死ねない。すっかり酒浸りになり、自暴自棄となった彼を再び病巣から救い出そうと奮起するのは、コロッサス(ステファン・カピチッチ)や、ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド(ブリアナ・ヒルデブランド)というオリジナル主要メンツとの再会だろう。プロフェッサーXの車椅子やセレブロも登場する『X-MEN』ファンなら涙ものの演出、初めてXマンションを訪れたデッドプールは、ウルヴァリンを徹底的に風刺することで、逆に自らの存在の特異性を際立たせる。

 前作『デッドプール』が愛に関する個人的な物語だったとすれば、今作はかけがえのない人物を失ったことで、ファミリーやチームの大事さに気付くデッドプールの成長譚に他ならない。前半は物語の基軸に据えたラッセル・コリンズ / ファイヤー・フィスト(ジュリアン・デニソン)とデッドプールとの関係性を明らかにしながらも、その出会いは来たるべきケーブル(ジョシュ・ブローリン)やドミノ(ザジー・ビーツ)登場のきっかけにもなり得る。しかも監督のデヴィッド・リーチとライアン・レイノルズの判断は、ケーブルとドミノという2人の重要人物登場のきっかけにどさくさ紛れにX-フォース・チームを短期的だが結成してしまう有様である。かくしてコメディ、アクション、エモーションの三位一体のバランスが見られる物語は、機能不全で不愉快極まりない馬鹿な主人公を、理想的なチームの長に成長させる。アクション場面では特に中盤のコンボイのような巨大トラックによるカー・チェイス場面は迫力十分で見応えがある。前半のミュータント刑務所からの脱出、プロフェッサーXの義兄でもあるジャガーノート(ライアン・レイノルズ)の登場、X-フォース・チームから一人勝ちするドミノの凄さなど各人にバランス良く与えられた見所も説得力がある。有り得ない人物との意外な友情は、欠損だらけの男たちを一つに結託させる。然し乍ら結末以上に、エンドロールで起きる決定的な帳尻合わせは、小技が効いていて素晴らしかった。
netfilms

netfilms