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しゃぼん玉のbluetokyoのレビュー・感想・評価

しゃぼん玉(2016年製作の映画)
3.7
2024年3月24日 21:00~ J:COM 
隠れた名作というか、隠しているわけじゃないけど。というか自分が知らなかっただけなのかな。この作品の監督は、この映画だけしか作っていないみたい。もったいないなあ。テレビドラマでは有名なひとらしいな。たとえば、スマ婆の息子がカネをせびりにやって来たとき、息子については、なにも説明しない。その直前に、主人公の伊豆見が、冷蔵庫を漁っていると、そこに封筒があるのを見つけ、中を見ると、二十万円ぐらい入っているのだ。そのときの主人公の心象と、カネをせびりに来た息子とが、オーバーラップするのである。こういう説明が上手いのだ。

簡単にあらすじ。
主人公の伊豆見は、かっぱらい通り魔の常習犯。トラックの運転手を脅して移動中に、運転手に車外に蹴りだされる。

くっそおお、と思ったら、原付が倒れている。ラッキー、と乗り逃げしようと思ったら、近くにスマ婆が倒れていて、うんうん唸っている。

とりあえず、スマ婆を家まで運ぶ。隙をみて、スマ婆の家からカネでも盗んでずらかろうと思っていた。
ところが、ずるずる居ついてしまい、のんべんだらりと過ごしてしまう。

しばらくすると、シゲ爺がやってきて、そげに、ぶらぶらしとると、体がなまって仕方あんめえ、などと言われ、仕事に駆り出された。

さらに、祭りの準備にも駆り出された。そのとき、美和と知り合いになる。

美和が美人なので、思わずときめいてしまう伊豆見だが、美和の境遇を聞いて愕然としてしまう。
美和は、通り魔事件の被害者で、そのときPTSDを患って、村に帰ってきていたのだ。伊豆見にとっては、因果応報である。

どうしようかと思いつつ、夜中、腹が減ったので、冷蔵庫を漁っていると、なぜか、封筒があった。なんだ、これ?と思い、中を見てみると、二十万円ぐらい入っている。そのとき、スマ婆が、どろぼー、と叫ぶ。ちげええよ、オレは、冷蔵庫を漁っていただけだよ、などと伊豆見が狼狽えていると、玄関あたりから、男が暴れる物音。
その男は、スマ婆の息子で、カネをせびりにきたのだ。息子は、伊豆見を見ると、なんだ、てめえは、と怒鳴ったりするガラの悪いヤツだった。
だが、シゲ爺が来ると、ヘコヘコして帰っていった。

そう、この息子こそ、伊豆見自身の姿なのだ。

伊豆見は、スマ婆に、自分の犯した罪をすべて告白した。そして、ここに戻ってきていいか、スマ婆に聞くのだった。
スマ婆は、いつまでも、待っちょるけん、と返事するのだった。

伊豆見は、意を決して、交番に自首するために向かった。

3年後、釈放された伊豆見は、スマ婆の家へ向かうのだった。

最後の方は、こうして、書いていても、目頭が熱くなってくるなあ。
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