サトタカ

オールド・ジョイのサトタカのレビュー・感想・評価

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)
4.8
男同士の古い友達2人がポートランドの東の山にキャンプしに行く話。片方は自堕落な独身で無職だが、片方は結婚して家も買い、妻は妊娠中という状態。Old Joy、2人を結んでいた昔の楽しみはもはや消えてなくなりつつある。
やっとたどり着いた山奥の温泉場で、無職の方がちょっとした日常のエピソードと夢の話をし出す。その中で彼が言った「Sorrow is nothing but, worn out joy.」という言葉(wornはwearの過去分詞)。「悲しみは使い古された喜びに過ぎない」という意味のようだ。
「悲しみ=古き喜び」ということになる。別離も仕事の失敗も、たとえ死にたいほど悲しくなっても、昔は喜べていた、楽しめていたことの裏返しということか。

思い出は時間とともに美化されるから、なおさら悲しく感じるのかもしれない。

原作はあるようだが、監督、脚本をケリー・ライカートという女性が行なっていて、ちょっと意外だった。(基本、ストレートな男同士の微妙な距離感の表現など妙にきめ細かい)

音楽がヨ・ラ・テンゴというニュージャージーのオルタナというかシューゲイザーっぽいバンドで、気だるさがおっさんふたり(+犬)のロードムービーと合っていてとてもよかった。

従順で繊細な性格の犬のルーシーもいい演技でした。(監督の愛犬らしい)

傑作だと思う。
サトタカ

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