回想シーンでご飯3杯いける

インディ・ジョーンズと運命のダイヤルの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

2.8
シリーズ1作目「レイダース/失われたアーク」と地続きの時代である1944年、ナチス時代のドイツから始まり、そこから舞台はインディが考古学者として引退する1969年へ。シリーズを総括する世界観や、アクションヒーローではなくあくまでオタク気質な考古学者という主人公の設定など、シリーズを観てきた人にとっては納得のいくストーリーになっていると思う。

現代とは違う、日本で言えば昭和初期に当たる時代設定だからこその、良い意味でごまかしが利くトンデモ設定と、絵本から飛び出してきたような街並み。これはこれで「インディ・ジョーンズ」ならではの良さである事は間違いない。

ただ、2つの時代、更には終盤にもうひとつの時代に飛ぶ大がかりな構成でありながら、変化に乏しい舞台美術や脚本で、ストーリーの方向性をつかみ辛いのが難点。初期3作を上映していた1980年代ならともかく、今やアクション映画もマルチバースが流行の時代に於いて、このメリハリの無い作りは無いと思う。

ハリソン・フォードが登場するシーンが少なく、アクションに限って言えば、フィービー・ウォーラー=ブリッジが活躍するシーンで上手くごまかしている印象。それがバレてしまうのは上映時間が長いからだ。ハリソン・フォードは既に思慮深い老人を演じられる俳優になっているのだから、変にシリーズの過去作に倣わず、老年のインディの葛藤を描く、ドラマ寄りの作風にしても良かったと思う。

俳優の生命にも限りがある。本人の年齢に見合った役を演じる事に時間を割いて欲しいし、業界側にも配慮が欲しい。