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フリック・ストーリーのHKのレビュー・感想・評価

フリック・ストーリー(1975年製作の映画)
3.7
敏腕刑事アラン・ドロン(当時39歳)と脱獄した凶悪犯ジャン=ルイ・トランティニャン(当時44歳)の対決。
実話を基にしており、2人とも実在の人物を演じています。
監督はジャック・ドレー、音楽はクロード・ボーランという『ボルサリーノ』コンビ。
この人気俳優2人の共演も唯一この1本だけじゃないでしょうか。貴重です。

本作は大昔に観て以来久々の鑑賞。
けっこう面白かったと記憶していますが今観るとはたしてどうでしょう。
うん、面白かった。安心しました。

ドロンの刑事というとストイックな役を連想しますが、意外や庶民的。
腕利きの刑事なのに上司にはガミガミ言われ、言う事聞かない部下もいて大変そう。
うるさい上役がステレオタイプなところがちょっと古さを感じさせます。

対照的に冷酷無比な兇悪犯のトランティニャンのストイックさが際立ってます。
何考えているかわからない挙動不審な演技は十八番(地か?)。
顔も隠さず大胆に強盗はするわ人はバンバン殺すわもうやりたい放題です。
ほぼ無表情なのも恐いんですが、ちょっと微笑むとこれがまた不気味。

共演は他にクロディーヌ・オージェ、レナード・サルバトーリ、ポール・クルーシェ。
そういえば同監督の『ボルサリーノ』で見かけた脇役もチラホラ。ギャング役だったのが今回は警官役をやったりもしています。
『ボルサリーノ』ではドロンとベルモンドがいいバランスでしたが、本作はドロンよりトランティニャンの方が印象に残りますね。

途中ちょっとノンビリしてると感じる部分もありますが、クライマックスのレストランのシーンの緊張感はさすが。
全てがこのシーンに集約されていると言っても過言ではないと思います。
あ、最後のドロンのカメラ目線も貴重かも。
HK

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