もりりた

パターソンのもりりたのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
3.5
パターソンを体感


バスの運転手として働くパターソン
彼女のローラと共に起き仕事の合間に詩を書く
夜、愛犬マーヴィンの散歩中バーに立ち寄り
ビールを飲みながら語り合う日常
変わらぬ日々を過ごす彼の一方
周囲の人物や環境は少しづつ変化
そして彼自身にも大きなトラブルが発生する


彼の日常

静のパターソン 動のローラ
振り回されて怪訝な表情のマーヴィン
個性的な登場人物が過ごす毎日は静かだが

変わらぬ日々の一方で彼の詩が変化したり
双子の存在感が消えないバスの中で
乗客の話し声に耳をそばだてる彼の様子など
静かな展開の中にある伏線めいたもの
何か起こりそうな予感を感じさせ目が離せない

全編通して話の起伏は小さく
大きく引き寄せられる様なシーンもないが
寡黙なパターソンの感情が気になって見てしまう
不思議な魅力がある映画だった


ドタバタな周辺

ゆっくりなパターソンの日常に対して
周囲の変化が対照的に大きくて面白い

決まった時間に現れ愚痴を漏らす同僚のドニー
どんどん厳しくなる状況が気になるし
最後は口をつぐんでしまった 大丈夫か笑

エヴェレットとマリーの痴話喧嘩
マスターと女性との小競り合いなど
日に日に展開が進みその先が気になる

ローラの我が道を行く様子に
閉口している犬のマーヴィンの表情が面白い
時に物言わぬパターソンを代弁している様
独特なパイを食べさせられた時の顔が良かった


魅力的なパターソン

自分の感情を強く出すことはなく
広い心で周囲を受け入れるが
詩に対する熱量を持ち時にスイッチが入る
パターソンのキャラクターがよく表れている

思考集中した時は周囲の景色がぼやけ
時間の進みが早くなり
音楽と共に言葉が文字となっていく

何かつかみどころがない故に
そんな緊張感ある場面がより強く印象付けられる
アダム・ドライバーの影ある表情も
キャラクターの個性をよく演出していた


見所は曖昧

平凡な毎日 核心を見せないパターソン
淡々としている故に話のインパクトは小さい
1週間の状況や気持ちの変化は些細すぎて
感情移入する場面は無かった

最後の展開においても
彼の気持ちは漠然としていて分かりにくく
心を引き裂かれる様なショックは伝わらない

日常を描いた故のシンプルさであろうが
通しで見ると地味過ぎる印象
もう少しメリハリがあった方が好みではあった


パターソンの感情を想像しながら見ると楽しい
イメージ膨らませて見てみてください
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